ジャーナリスト山口敬之が斬る!都議選の惨敗から読み解く参院選の行方と有権者の「覚醒」

ジャーナリスト山口敬之が斬る!都議選の惨敗から読み解く参院選の行方と有権者の「覚醒」 最新ニュース
ジャーナリスト山口敬之が斬る!都議選の惨敗から読み解く参院選の行方と有権者の「覚醒」

ジャーナリストの山口敬之氏が、ニコニコ生放送「特番『山口敬之氏が斬る!来たる参院選と日本の政治、どうなる?トランプ政権の世界戦略』」に出演し、松田学氏との対談を通じて、東京都議会議員選挙(都議選)の結果を分析し、来る参議院選挙(参院選)への影響を予測した。特に、自民党と公明党の歴史的惨敗、主要野党の失速、そして「トランプ効果」に代表される有権者の意識変化に焦点を当て、日本の政治の未来を読み解いた。

都議選、自民・公明の「想像絶する惨敗」が示す日本の政治の転換点

ジャーナリストの山口敬之氏は、都議選の結果について「想像絶する惨敗」と表現し、自民党がこれまでの最低議席数23を下回る21議席(最終的に公認した4名を含めると25議席)に留まったことを指摘した。この歴史的な敗北の背景には、「公明党学会の基礎票が崩れちゃった」という深刻な問題があると分析する。

公明党の強みである創価学会の組織票が機能しなかったことについて、山口氏は二つの異変を挙げた。一つは、「投票に行かなかった学会員が相当程度いるんです」と、学会員の投票率低下を指摘。もう一つは、長年にわたり公明党を支えてきた学会員が「愛想をつかしてる可能性がある」という点である。特に自営業者や商店主、会議員といった層が、岸田政権の経済政策、例えば「2万円配りますとか、それから消費税減税をしない、片くなにしない状態っていうのは実はこういう人たちにとっては一番打撃になってるんですね」と述べ、これが公明党や自民党への不満に繋がり、投票行動に影響を与えたと分析した。

さらに、創価学会が「この8年ぐらい前から、政治と少し距離を置き始めてる」構造的な変化や、「岸田政権以降少しずつ名簿が壊れてる」ことも指摘し、従来の強固な組織票が揺らいでいる現状を明らかにした。この象徴的な敗北地域として、創価学会の「メッカ」である新宿区での現職の落選、そして池田大作氏の出身地である大田区での全敗を挙げ、「大田区ゼロになっちゃった」という事態が、学会票の深刻な動員状況を物語っていると強調した。

都議選では、小泉進次郎氏の「コメ」政策による自民・公明への追い風が期待されたが、山口氏は「蓋開けたら19ですからね」と、その効果が全く見られなかったことを指摘した。これは有権者が「結局小泉さんっていうのは財務省の操り人形で、小泉さんを指示したらその後に大増税が来る」と認識しているためだと分析した。そして、「このまま、全国で同じことが起きるんです、参院選は」と、都議選で顕在化した自民・公明の支持率低下が、全国規模の参院選にも波及すると予測した。

主要野党の失速と有権者の「覚醒」

自民・公明党以外の主要政党も都議選で「惨敗政党」となったと山口氏は語る。「石丸新党、これ全員落選。それかられいわ新撰組、これ全員落選なんです。それから維新の会、これ全員落選なんです」と、主要な3つの政党が壊滅的な敗北を喫したことを指摘した。

特にれいわ新選組については、減税を掲げながらも「減税がいいという理由でれいわが票の受け皿に全くならなかったってことがはっきりした」と、リベラル層や左派層の票の受け皿になれなかったことを強調。維新の会については、「維新にノーってことは、移民政策ノー」だと述べ、高校無償化などの政策推進にもかかわらず、有権者がグローバリズムや移民政策に「ノー」を突きつけた結果だと分析した。

これらの敗北の背景には、有権者の意識の変化「覚醒し始めた」があると山口氏は語る。メディアへの不信感が高まり、「メディアが伝えることは信用できないってことも分かってきた」という。ウクライナ戦争や世界情勢についても、「なんでウクライナ戦争、バイデンの時は終わらなかったのに今和平交渉が始まってんだろう。でその和平交渉がウクライナ抜きでどうしてアメリカとロシアがサウジでやってんだろう。これニュースと照らすとみんなこう違和感持つわけですよね」と、既存の報道に対する疑問が広がっているとした。

移民万歳中国人いっぱい入れましょう橋本徹ですみたいなね。民泊4割中国人で万歳みたいな、上海電力大阪市で原発させて万歳みたいな。それなんか違うんじゃないの?」と、従来のグローバリズム推進の論理や移民政策に対する有権者の疑念を指摘。「長い眠りから覚めて、世の中ってなんか今まで当たり前に思われたこと違うんじゃないかという、覚醒し始めた」と述べ、欧米諸国でポピュリスト政権が台頭している現象とも共通するとした。

このような有権者の意識変化の中で、都議選で議席を獲得した参政党については、「ディープステート、グローバリズムということを当然、あるいはそのいわゆる柱として掲げてる政党は今参政党しかありませんから」と、既存政党に満足できない有権者の受け皿となっていることを分析した。また、「移民政策ノー」の意識が国民に広がり、特定技能外国人やインバウンドへの懸念が、維新やれいわ、自民・公明といった政党への投票を妨げた結果、「消去法で消されてった政党が都議選の、惨敗政党なんです」と結論付けた。

減税と「哲学」──有権者が求めるもの

山口氏は、有権者が単に減税を訴える政党を求めているのではなく、「この国をどう導いていくか、そういうはっきりとした、骨があるかどうかを見てるんじゃないかと思います」と、その政策の「哲学」を重視していると分析した。れいわ新選組が減税を掲げながらも支持を得られなかったのは、「税金を下げてくれさすればいいんじゃなくて、どうして下げんの?と」「ポピュリズムだってバレてるから」だと述べた。

一方で、国民民主党が支持を伸ばした理由については、「財源なんかいらないと。財源がいるから減税できないってのはおかしい。これが響いたんですよ国民に」と、単なる減税だけでなく、その財源確保の論理を有権者に提示できたことが成功要因だと評価した。そして、「その哲学があるかどうか有権者が見てる。都民はバカじゃなかった」と述べ、有権者の判断能力を高く評価した。

都議選の結果は、日本の政治における既存の枠組みが大きく揺らいでいることを明確に示した。特に、これまで強固な基礎票を持っていた自民・公明両党の支持層が離反していることは、来る参院選に深刻な影響を与えると考えられる。有権者は、メディアが伝える情報のみに依拠するのではなく、自ら世界情勢や経済問題を深く考察し、日本の進むべき方向性について「哲学」を持った政党を求めている。

「トランプ効果」に代表されるグローバリズムへの疑問や、移民政策への懸念は、有権者の意識を大きく変容させており、既存政党の政策や姿勢が問われる結果となった。果たして参院選では、都議選で示されたこれらのトレンドが全国に波及し、日本の政治地図が大きく塗り替えられるのだろうか。

[引用元]特番「山口敬之氏が斬る!来たる参院選と日本の政治、どうなる?トランプ政権の世界戦略」松田政策研究所代表 松田学× ジャーナリスト 山口敬之氏

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