参議院議員の青山繁晴氏が、2022年参議院選挙における自由民主党(自民党)の敗北、特に大阪での実情を詳細に分析する。候補者の奮闘と有権者の反応、自民党支持層の投票行動の変化、そして公明党の戦略を浮き彫りにし、長年の自公連立がもたらした弊害と、その解消が日本政治の「保守改革」に不可欠であると強く提言する。
大阪での奮闘と見えた「脱皮」の姿
2022年の参議院選挙は、自由民主党(自民党)にとって厳しい結果となった。特に大阪では、その敗北の現場から多くの示唆が得られると、参議院議員の青山氏は指摘する。
青山氏が自身の動画で語るのは、大阪の候補者・柳本顕の選挙戦での奮闘ぶりだ。17日間の選挙戦で柳本候補が「何度も脱皮していった」姿は、有権者の目に焼き付いたという。その真摯な姿勢は敗戦後もブログやコメントで高く評価されており、これは「政治に関心がなかった若い人たちを掘り起こ」す動きと関連があると青山氏は分析する。
青山氏と柳本候補の対談は「打ち合わせなしで生の人間同士」の対話であり、候補者が有権者に対し「脱皮していく姿」を見せたことが「非常に意味があった」と評価する。
自民党支持層の「裏切り」と公明党の戦略
大阪では15年以上にわたり維新が府政・市政を掌握しており、本来の住民は「弾き出されてる」状況にあると青山氏は指摘する。にもかかわらず、自民党には「分厚い思想」を持った支持層が存在する。しかし、企業や団体は、維新が強い大阪では「そことうまくやっていかないと現場で困る」ため、実態として維新との連携を深めているという。これは「面従腹背」とは言わないまでも、表向きの態度と実態が異なる状況を生んでいる。
柳本候補への最終的な投票率は「甘く見ても4割」だったという。残りの「6割」は、普段は自民党支持者でありながら「今回の大阪では入れなかった」人々だと青山氏は分析する。この結果は青山氏の予測と「ちょうどぴったり合って」いた。
自民党が失った票は、参政党や国民民主党ではなく「公明党」に流れたと青山氏は分析する。公明党は選挙戦において「減税一本」を強く訴え、これが自民党支持者の中にも「減税が必要」と考えている層が多数存在したことに合致した。
大阪の衆議院選挙区において、自民党が公明党に4つの小選挙区を譲っている状況が長く続いているため、自民党支持者は「投票に行かないか、あるいは公明党に入れる」ことに慣れてしまっているという。自民党支持者が「公明党に入れたら当然自民党への影響力も行使されて選挙後に減税ってことになる」と考え、公明党に投票することは「全く全うな考え方」であると青山氏は指摘する。
組織票の「引っこ抜き」と「浮動票」の掘り起こし
公明党は「全体に統制はすごく利いて」「明らかに動員能力は衰えてる」状況にあると青山氏は語る。この状況下で公明党は、自民党の「硬い層から、減税って一言で奪っていく」ことで、自らの議席を確保しようとした。これは青山氏の選挙戦中の懸念が現実となった形だ。
選挙中に自民党員を名乗る者が「柳本さんは大丈夫です。だって青山さん来ましたよって」「こっち入れてください」と他党への投票を誘導する事例が多数報告されたという。これは公明党に限らず「常識的な戦術」であり、これに対応できない自民党側に問題があると青山氏は指摘する。
一方、参政党や国民民主党は「自らの努力で」「初めて自分たちで掘り起こした票」を獲得した。これは「今まで政治に関心がなかった若い人たちを掘り起こした」結果であり、既存の自民党票を削ったわけではないと青山氏は分析する。青山氏の事務所も「企業や団体に一切お願いせずに党員数を増やしていって4年連続1位」であることから、この「掘り起こし」の重要性を強調した。
自公連立の弊害と「保守改革」への提言
故・谷川和穂氏(元防衛庁長官)は、自公連立を「劇薬ではないのか」と憂慮し、自民党が「本来の党のあり方を失う」ことを予言していたと青山氏は語る。青山氏は、これが現実となっていると指摘する。自民党の候補者は「公明党の協力がないと自分たちはもう二度と当選できない」と考えるようになり、公明党の意向に逆らえなくなっているという。
青山氏は、秋の総選挙は「本当に保守改革の終わりになってしまう」可能性があるため、このタイミングで「自公連立についてはっきりさせるべき」だと力説する。次期総理は、「これをはっきりさせることが条件」だと青山氏は断言する。公明党に対しても、「御党にとっても良いことではない」として、「自分の票をやっぱり作るべき」と、自立した政党運営を促している。
青山氏自身は、大阪府連所属の国会議員であることは「やめません」と明言している。出身は兵庫県であるものの、大阪府連会長を半年間務めた責任として、今後も「府連の一員として務めを果たします」と表明した。また、青山氏は党員拡大を強く推進しており、「物事っていうのは一気に全部変わらない」ことを示唆する。
2022年参議院選挙における自民党の敗北は、単なる票の流出だけでなく、長年にわたる自公連立が自民党の本来の姿を失わせ、特定の支持層への依存体質を強めてきた結果だと青山氏は分析する。特に大阪においては、公明党の「減税一本」戦略と、自民党支持者の公明党への投票慣れが、自民党票の流出を招いた。
青山氏は、この状況を打開し、日本における「保守改革」を真に進めるためには、自公連立を解消し、自民党が自らの力で新たな支持層を開拓していく必要があると強く提言している。これは、既得権益に依存するのではなく、国民一人ひとりの生活に寄り添い、真に国民のための政治を追求する姿勢へと転換することに他ならない。秋に予想される総選挙は、この「腹をくくる」べき重要な「分岐点」となるだろう。はたして、自民党は青山氏の提言を受け入れ、真の保守政党として再生できるだろうか――。




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