14日、安倍首相の後継を決める自民党総裁選が行われ、新総裁には菅義偉官房長官が選出された。獲得票数は、菅官房長官が377票、岸田文雄政調会長が89票、マスコミに持ち上げられた石破茂元幹事長は68票に終わった。
勝因の決め手となったのは「安倍路線の継承」を宣言したことにあるではないだろうか。菅義偉官房長官は出馬会見に於いて「安倍首相が全身全霊を傾けて進めてきた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めるために持てる力を尽くす」と述べ、安倍路線を継承することを宣言した。
自民党は安倍首相の下で選挙に勝ち続けてきた。特に、第二次安倍政権での選挙の強さは別格で、5回の国政選挙全てに於いて圧勝している。なぜこれほど選挙に強かったのか? それは(賛否ありながらも)安倍政権を支持し続けてきたからだ。安倍首相の辞任を惜しむかのように、自民党の支持率が爆上げしていることがそれを証明している。
選挙に勝ち続けるには安倍路線を継承すればいい―。多くの党員がそう考えれば、菅氏に票が集まるのは当然ではないだろうか。
創価学会幹部と太いパイプを持っているのも心強い。菅義偉官房長官は選挙協力の責任者である佐藤浩・副会長とは親しい間柄で、公明党を通さずに直接学会中枢と話ができる。菅氏が次期総裁に就任すれば公明党との選挙協力はさらに強化されるはずで、これも選挙を第一に考える党員にとっては歓迎すべきことだ。
マスコミは党内の人間関係や派閥の力関係で次期総裁が決まるかのように喧伝している。もちろんそうした面はあるが、実際は「選挙に勝てるか否か」によって決まる。選挙に落選すれば唯の人になってしまうのだから当然ではないだろうか。
菅義偉官房長官の総裁就任を受け、党内では「解散すべき」という声が強まっている。河野太郎防衛大臣は9日夜「おそらく10月のどこかで行い、来年の東京オリンピック・パラリンピックへ準備を整えていくだろう」と語った。鈴木俊一総務会長は6日のテレビ番組で「私もそういう(解散の)誘惑に駆られる一人だ」と述べている。
自民党は次期衆院選で勝てるだろうか? 筆者は勝てると思う。なぜなら「安倍路線の継承」が決定したことで自民党への期待が高まっている反面、野党への期待が薄いからだ。
国民民主党と立憲民主党が合流して出来た「合流新党」への国民の期待値は驚くほど低い。5日と6日に行われたJNNの世論調査では、新党に対して「期待しない」が62%を占めた。毎日新聞が8日に行った世論調査でも、新党について「もともと期待していない」が65%、「期待は低くなった」が10%も存在している。
党首が枝野幸男氏で、党名も「立憲民主党」では新鮮味を感じない。「何かやってくれそう」という期待も持てない。党名も顔も同じではマスコミも担ぎにくいだろう。新党は最低限、党名と顔を変えるべきだった。小沢一郎氏は「選挙に勝てる」と語っていたが、そうはならないだろう。
解散時期については年内、もしくは来年の通常国会の冒頭解散が有力視されている。
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