14日、アメリカのトランプ大統領は「TikTok」を運営する中国企業に対して、安全保障を脅かす可能性があるとして、アメリカ国内での事業を売却するよう命じた。13日にも「孔子学院」を外国政府の機関に指定するなど、トランプ政権の中国叩きは加速している。
トランプ大統領の怒りはもっともだ。これまで積み上げてきた成果が、中国のせいでオジャンにされてしまったのだから。
新型コロナの感染が拡大する前、アメリカの経済は絶好調だった。米国の株価は史上最高値を記録し、失業率も過去最低水準で推移していた。民主党の大統領候補は認知症が疑われるバイデン氏。トランプ大統領にとっては与しやすい相手であり、再選は間違いないだろうと見られてた。
ところが、新型コロナウイルスが全てを変えてしまった。感染拡大によって、多くの都市がロックダウン。4月から6月までのGDP(国内総生産)の伸び率は、前の3か月に比べて-32.9%(年率換算)。6月の失業率は11.1%に達した。これまでの成果を無にされたら、そりゃトランプ大統領だって怒るだろう。
当初、トランプ大統領は新型コロナウイルスは夏には終息すると考えていた。感染終息後に経済をV字回復させ「新型コロナウイルスに勝った大統領」としてアピールすれば再選できる― そんなシナリオを描いていたのではないだろうか。ところがウイルスの感染拡大は一向に収まりそうにない。そこで中国を叩く路線に変更したようだ。
新型コロナウイルスによる死者は、8月14日時点で、16万7千人を突破。ウイルスの感染拡大は収まりそうにない。トランプ大統領の中国叩きは、統領選挙に向けて、より激烈になるだろう。経済をアピールできない以上、そうするしかないのだ。
アメリカの同盟国である日本は、当然その争いに巻き込まれていく。アメリカ大統領選は、日本にとっても他人事では済まされない。
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