25日、自民党の石破茂元幹事長が、総裁選で惨敗した責任を取り、水月会の会長を辞任する意向を表明した。石破氏は記者会見で「私の中で何度も反すうし、懊悩(おうのう)した。だが皆が辛い思いをしてきたことに対して、言葉だけでは足りない」と語った。
石破氏は、安倍晋三首相(当時)の辞任に伴う総裁選に岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官(当時)らと共に出馬。結果は菅氏が377票を獲得し当選。岸田氏は89票を獲得し次点。石破氏は68票で最下位に終わった。議員票が26票と伸びなかったことに関して、石破氏は「(議員との)意思の疎通に努める」と語るにとどめた。
石破氏の敗因は、政権に批判的なその姿勢にあるのだろう。石破氏は政権を批判することで存在感を示してきた。「森友学園」をめぐる財務省の文書改ざん問題で、自殺した職員の手記が公表された際には「政府は、再調査はやらないというなら手記に新しい事実はないと明確にすることが必要だ」と再調査に消極的な政府の姿勢を批判した。徳島市内の街頭演説でも「間違っているなら間違っていると、きちんと認める自民党でなければ、国民の支持を得ることはできない」などと批判してきた。「野党か?」と見紛うごとき言動は、メディアの支持を一身に集めることに成功した。「ポスト安倍」アンケートでは毎回一位を獲得できたし、総裁選中も強烈なバックアップを受けることができた。
しかし、そうした姿勢は議員の不評を買った。彼らが国会議員で居られるのは安倍首相のお陰なのだから当前だ。「大恩」のある安倍首相に弓を弾く「長」に、派閥所属議員は内心、心苦しく感じていたのではないだろうか。
10日のインターネット番組で「何でも反対ならみんながっかりするし、同志の皆さんに申し訳ない」と発言し、路線変更をアピールしたが後の祭り。多くの政治評論家は「これで首相の目は潰えた」と見ているが、筆者もその通りだと思う。
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