ツイッターの「#落選運動」が上手くいかない3つの理由

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次期衆院選が間近に迫る中、ツイッターでは「#落選運動」が盛り上りを見せている。恒例となったツイッターの落選運動だが、はたして上手くいくのだろうか? 答えは難しいと言わざるを得ない。理由は3つある。

比例代表制

最大の理由は「比例代表制」という仕組みがある為だ。現在の選挙制度では「比例代表制」という仕組みが導入されており、多くの政党は「拘束名簿式」という方式を採用している。拘束名簿式を採用している大政党では、名簿上位に登録された候補者は、ほぼ確実に当選してしまう。落選運動が上手くいき、小選挙区で落選させたとしても、比例で復活当選してしまうのだ。

落選運動の対象となっている大物政治家の多くは、比例名簿の上位に登録されており、そうした政治家は小選挙区で落選しても、比例で復活当選してしまう。大政党に所属し名簿上位に登録されている政治家を落選させることは、ほぼ不可能と言える。

対立候補が明確になっていない

二つ目の理由は、対立候補が明確になっていないことだ。落選運動を行っているツイートのほとんどは、政治家の名前を挙げているだけで、対立候補には触れていない。これでは票が分散してしまい、結局、落選運動の対象となった政治家が当選してしまう。

落選運動を成功させるには、対立候補を一本化し票をまとめる必要がある。落選運動では、落選させる政治家と当選させる政治家をセットとして考えなければならないのだ。ツイッター上での落選運動には、その点がスッポリと抜け落ちてしまっているように見える。

投票率の低さ

三つ目の理由は投票率が低いことだ。落選運動を成功させるためには、対立候補が落選運動の対象となっている政治家の票を上回らなければならない。その為には、多くの人に投票所に足を運んでもらい、対立候補に票を投じてもらう必要がある。つまり、投票率を上げる必要があるのだ。

しかし、選挙の投票率は新型コロナの感染拡大により低迷している。筆者の調べでは、地方選挙で平均で10ポイント程度投票率が低下していることが明らかになった。コロナ禍の中、ましてや普段投票に行かない層に訴えかけ、投票所に足を運んでもらうのはかなり難しい。

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あなたがどんなに頑張って「#落選運動」を拡散させても、選挙結果にはほとんど影響しない。政治家にとってツイッターの落選運動など怖くないのだ。そうは言っても手がないわけではない。次回では落選運動を成功させるためのポイントについて書きたいと思う。

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