投票日まで一週間と迫ったアメリカ大統領選挙。期日前投票を終えた人は26日時点で6400万人を越え、前回の大統領選を既に上回っている。コロナ過を理由に期日前投票の規制が緩和されたことや、有権者の関心が高いことが影響しているとみられる。
今回の大統領選挙では、多くの州で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため郵便投票が実施されている。しかし、システムが杜撰な為か、誤った投票用紙が有権者に送付されたり、投票用紙に異なる候補者名が印刷されていたり、複数の投票用紙が届くといったミスが頻発。ニューヨーク州では、先月下旬、誤った名前や住所が印刷された返信用封筒を有権者に送付していたことが発覚した。こうした事態を受け、トランプ大統領は「手に負えない。不正に操作された選挙だ」とツイッターに投稿している。
トランプ大統領は、郵便投票は不正の温床になるとして、以前から批判してきた。なぜトランプ大統領は郵便投票を目の敵にしているのだろうか。最大の理由は、民主党支持者の投票率が高まり、トランプ大統領にとって不利になるからだ。郵便投票にすると普段投票に行かない若者やマイノリティといった民主党支持者が一票を投じる可能性が高まるのだ。
投票用紙が悪用されるという理由もある。米国では州によって、死亡した人や他州に引っ越した人のデータが有権者名簿から削除されず残っていることがある。そうした人の元に送付された投票用紙は、悪意のある人物に回収され悪用される恐れがある。投票所に出向いて投票すれば本人確認を簡単に行えるが、郵便投票はこれが極めて難しい。
集計に時間がかかるといった問題も存在する。郵便投票では封筒から出さなければならないので時間がかかる。不正防止のため一つ一つチェックし不審な点があれば本人に確認の連絡もしなければならない。そもそも、米国の郵政公社は大量の投票用紙を裁くインフラを有しておらず、(投票用紙が)期間中に届かない事態も懸念されている(不正を防止するという観点で考えれば投票所に足を運ぶという従来の方法が今のところ最善のようだ)。
バイデンが勝利宣言を出したとしても、トランプ大統領は「郵便投票で不正投票が行われた」として敗北は認めないだろう。エイミー・バレットを最高裁判事に指名したのは、それを見越してのことという見方もある。
今回の大統領選挙はかつてないほど面白い。
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