N国党が「NHKから自国民を守る党」に党名変更 「自民党」の略称は却下される

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「納得がいかない!」そう語るのはNHKから国民を守る党(以下N国党)の立花孝志代表だ。来年1月から「NHKから自国民を守る党」に党名を変更することを表明した立花氏。総務省に略称を「自民党」にしたい旨を伝えたところ「駄目だ」と言われたのだ。

「立憲民主党と国民民主党の略称は両方とも『民主党』ということで9月に総務省が認めているんですね。次の(衆議院)選挙では『民主党』という略称を使った政党が二つできるということは決まっているんですよ。」(立花氏)

9月、総務省は立憲民主党と国民民主党が立党された際に、同じ略称(民主党)を使うことを認めている。なぜ国民民主党と立憲民主党が同名の略称を使うことが許されて、こちらは駄目なのか。総務省は合理的な理由を示す必要があるだろう。立花氏はこの点について「裁判をする」と語っている。

総務省が同じ略称を認めた理由

そもそも、なぜ総務省は異なる政党で同じ略称を使うことを認めたのか。立花氏によれば、その理由は平成22年の総務大臣答弁にあるという。

当時、「新党日本」は「日本」という略称を使用していた。そこに自民党を離党した平沼赳夫らが「たちあがれ日本」を結党し略称を「日本」にすると言い出した。略称が被ることを疑問視した新党日本の代表・田中康夫氏は国会で質問を行い、その際に総務大臣から以下のような答弁を引き出している。

一方、議員数要件又は得票率要件に該当する政党その他の政治団体による他の議員数要件又は得票率要件に該当する政党その他の政治団体の名称及び略称と同一又は類似の名称及び略称の使用は、禁止されていない。

このような取扱いの差異につき議論の余地があることは承知しているが、現行の公職選挙法の下では、中央選挙管理会には、政党その他の政治団体の政治活動の自由を制限しないよう、法令の規定により受理しないことが認められる場合を除き、届出の受理に関する裁量権の行使は認められていない。そのため、中央選挙管理会は、同一又は類似の名称及び略称を有する二以上の議員数要件又は得票率要件に該当する政党その他の政治団体から名称及び略称の届出があった場合でも、当該届出を受理せざるを得ない。

なお、現行の公職選挙法が改正されない限りにおいては、今後同様の事案が生じた場合でも、同様の対応をとることとなる。

「ここ(略称)が同じ名前であっても(総務省は)受理せざるを得ないと書いてあるんですよ。現に今年の9月も『民主党』が認められているんですよ。」

N国党はなぜ党名変更を望んでいるのか?

N国党が党名を変更する理由は、もちろん「自民党の票を奪うこと」にある。

数々の暴挙が影響したのか、N国党は選挙で全く勝てなくなってしまった。それを裏付けるかのように支持率も低迷(最新のNHKの世論調査ではN国党の支持率は0.2%)。このままでは次期衆院選で惨敗するのは確実だ。そこで立花氏が考えだしたのが「人気のある政党と同じ略称を付ける」という奇策である。

仮に次期衆院選で「自民党」という略称が2つ存在した場合、「自民党」と書かれた票は得票率に応じて両党で案分される。N国党にとっては票の上澄みが期待できるというわけだ。

これについては「すばらしい」「さすが」「天才だ」などの称賛する意見がある一方、「有権者を馬鹿にするな」「やめろ」といった批判的な意見も出ている。「法律の範囲内」と強弁する立花氏。はたして有権者の支持は得られるだろうか…

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