公明党代表の斉藤鉄夫氏が、参議院選挙の公示日、全国で最も激戦区とされる兵庫県から第一声を上げた。「公明党はやると言ったらやりきる政党だ」と冒頭から強調し、その実績として、与野党を問わず使途不明であった「政策活動費」の廃止を公明党がリードして実現したことや、高額療養費制度の見直しを一時凍結させたこと、阪神・淡路大震災から30年となる節目に災害対策基本法の大幅見直しに「福祉の観点」を盛り込ませたことなどを挙げた。斉藤氏は、今回の参議院選挙を「物価高乗り越え選挙」と位置づけ、「物価高を乗り越える経済と社会保障の構築」を主要テーマに戦い抜く決意を示した。
「物価上昇以上の賃金・年金上昇」を目指す経済政策
斉藤氏は、物価高を乗り越えるための最も基本的な政策は「物価上昇以上の賃金上昇、年金上昇だ」と述べた。その実現のためには、「日本が経済力をつけなければならない。国際競争力をつけなければならない」と強調した。
具体例として、米国の鉄鋼関税に触れ、日本製の鉄の売上が減っていないのは「日本にしかできない高度な技術で高度な品質の鉄を作ってるから」だとし、今後も世界で生き残るためには、その競争力をつけ、特に「その産業の中心にいる中小企業にその技術をつけていく」ことが重要だと訴えた。AI(人工知能)の活用についても言及し、米国や中国の中小企業が8割でAIを使っているのに対し、日本はまだ5割であることを「まだ伸びしろがある」と前向きに捉え、兵庫県の「産官学」連携を強みとして、「世界に負けない科学技術を作って世界に負けない産業を作っていく世界に負けない中小企業を作っていく」と、技術革新による経済成長を促す考えを示した。
「責任ある減税」と「現金給付」で物価高対策
斉藤氏は、賃金上昇や年金上昇が物価高に追いつかなかった現状を踏まえ、「物価高対策としてきちんと減税も行う、給付も行う」と述べた。公明党の政策は「減税も給付も」であり、所得税減税では「課税最低限をさらに上げていく」ことや、「年少扶養控除などの控除対象も見直していく」ことを公約した。
また、自動車関連税の軽減として「暫定税率を廃止」することも明言した。さらに、「奨学金減税」を公約として掲げ、奨学金返済で苦しむ現役世代のために「奨学金返済額の一部を所得控除できる」制度の導入を目指すとした。
消費税については、「税と社会保障の一体改革」の当初から「食料品については5%が適当である」と主張してきたことを強調し、今後も社会保障の充実を基本理念としつつ「軽減税率のあるべき姿を私たちは追求してまいる」と述べた。
減税には時間がかかるため、その間の対策として「税収の上ぶれレベルを使った」現金給付を行うとした。これは所得税減税の恩恵をあまり受けない「お子さんやまたいわゆる住民税非課税世帯の方々」を重点的に支援するためのものであり、野党が批判する「ばらまき」ではないと反論。「物価高に追いつかない、年金、そして賃金の上昇、その差額を埋めるための物価高対策だ」と、その正当性を強調した。
「日本のためにどうか働かさせてください」
斉藤氏は、改めて「公明党はやると言ったらやりきる。やれないことは無責任にやれるなどとは言わない」と述べ、公明党の実行力をアピールした。そして、「日本のためにどうか働かさせてください」と聴衆に呼びかけ、公明党代表としての第一声を締めくくった。
公明党代表の斉藤鉄夫氏が参院選で掲げる「物価高乗り越え選挙」は、単なる経済対策に留まらず、社会保障の充実、中小企業の技術革新、そして責任ある減税と給付を組み合わせた多角的なアプローチである。はたして、「やると言ったらやりきる」公明党の実績と、現実的な経済政策の訴えは、有権者の支持を得ることができるだろうか――。
コメント