9月の「自民党役員人事」はアメリカの影響力を図るバロメーターになる

ニュース・コラム

アメリカと中国の対立が激化している。アメリカのポンペオ国務長官は「クリーンネットワーク構想」なるものを発表し、ITの世界から中国を締め出そうとしている。米中の対立は政治の世界にも波及し、現在行われているアメリカ大統領選挙では、中国に対してどう向き合うかというのが一つの争点となっている。

アメリカは日本の親中姿勢に不満を持っている

米中対立が激化するなか、アメリカのマルコ・ルビオ上院議員をはじめとした反中議員は、日本の現在の対応に不満を抱いていると言われている。アメリカが中国とのデカップリングを急速に進めているにも拘わらず、同盟国である日本は、中国で金儲けしたいがために脱中国がなかなか進んでいないからだ。アメリカがイライラするのも当然だろう。

デカップリングが進まない場合、アメリカは日本に圧力をかけてくるだろう。「親中派議員を排除し、反中派議員で政権をかためろ」と迫ってくるはずだ(アメリカがそうしたように)。7月下旬、米国のシンクタンクが日本の対中融和政策を推進する勢力として、二階俊博幹事長や公明党、今井尚哉首相補佐官の名前を挙げ批判したのは、その表れではないだろうか。

記者団の質問に答える自由民主党二階俊博幹事長

記者団の質問に答える自由民主党二階俊博幹事長

アメリカが真っ先に排除したい相手とは?

注目したいのは、9月に任期満了を迎える自民党役員人事で、二階氏が幹事長を継続するか否かという点だ。二階氏は筋金入りの親中派議員として知られる。2019年4月に、安倍首相の特使として北京を訪れた二階氏は、習近平国家主席との会談後に「今後も互いに協力し合って(一帯一路を)進めていく。米国の顔色を伺って日中の問題を考えていくものではない」と記者団に語った。

習近平国家主席の国賓来日を推進したのも、新柄コロナの感染拡大の原因を作ったのも二階氏だと言われている。二階氏が党内で要職についている限り、日中のデカップリングはなかなか進まない。アメリカとしては二階氏は真っ先に排除したい相手なのだ。

なぜ二階氏は狙われるのか?

二階氏のみならず、二階派に所属する議員は中国とズブズブの関係にある。先日、IR汚職疑惑で保釈中の秋元司議員が、今度は組織犯罪処罰法違反(証人等買収)で逮捕された。贈賄罪で起訴された中国企業側に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けたというのだ。元二階派ということを考えれば然もありなんという感じである。

秋元氏はIR汚職疑惑で逮捕される前に「2000万円もらった議員がいる」と漏らしていたようだが、その正体が二階氏ではないかとも言われている。二階氏を排除すれば親中派議員を一網打尽にできるので、アメリカから狙われても不思議はない。

サプライズ人事は難しいとの見方も

一方で、「サプライズ人事は難しい」との見方も強い、新型コロナの感染拡大による支持率の低迷、国民と立民の合併に伴う野党再編の動き、次期首相の座を巡る主導権争い等々・・ 危ういバランスの上に立たされている中で、下手に人事を弄れば波風が立つというわけだ。

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はたして、二階氏は幹事長を続けられるだろうか? 9月に任期満了を迎える自民党役員人事は、アメリカの影響力を推し量るバロメーターともなりそうだ。

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