7月下旬、米国のシンクタンクは日本の対中融和政策を推進する勢力についての調査報告書を公表した。報告書には、安倍晋三首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、二階俊博幹事長や公明党、首相補佐官の今井尚哉氏の名前が書かれている。
二階俊博幹事長は、筋金入りの親中派議員として知られる。2019年4月に、安倍首相の特使として北京を訪れ習近平国家主席と会談。会談後は記者団に「今後も互いに協力し合って(一帯一路を)進めていく。米国の顔色を伺って日中の問題を考えていくものではない」と語っている。習近平国家主席の国賓来日を推進しているのも二階氏だ。二階氏の対中外交の根底には、日中国交正常化を実現した田中角栄元首相の存在があるという。
今井尚哉氏は、経済産業省で産業政策・エネルギー畑を歩んできた。第一次安倍政権で内閣官房に出向し、総理秘書官に就任して以来、安倍首相のお気に入りとなっている。
日本の対中政策に米国が関心を持つのは、米中対立が激化しているからだ。アメリカのポンペオ国務長官は、23日に行われた演説で「習近平総書記は、破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者だ」「両国間の根本的な政治的、イデオロギーの違いをもはや無視することはできない」と共産党を批判。互いの領事館を閉鎖するなど、戦争一歩手前の状況まで来ている。同盟国である日本に歩調を合わせるよう求めるのは当然で、米国からすれば二階氏をはじめとした親中派議員は邪魔なのだろう。
安倍首相は、親中派議員をどのように処遇するのだろうか。注目すべきは9月に任期満了を迎える党役員人事だ。二階氏が幹事長を続投すれば、日本は中国寄りに、そうでなければ、同盟国として米国と歩調を合わせていくことになるだろう。次期衆議院選挙にも大きく影響するので注目したい。
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