[ネット戦略] N国党の選挙戦略(1)返報性の法則を利用した濃い名簿作り

ネットと選挙

「NHKから国民を守る党(以下N国党)」の躍進が目立った令和元年。N国党は4月に行われた統一地方選で26人が当選したのに続き、7月の参院選では党首の立花孝志さんが当選し国政に進出しました。N国党が躍進した理由の一つとして、周到な名簿作りが挙げられます。

今年はN国党の躍進がすごかったわね。4月の統一地方選では47人のうち26人が当選したし、参院選挙では党首の立花さんが当選しました。なぜN国党はここまで躍進したんでしょうか?

いろいろな理由があると思うんだけど、第一に「名簿」作りが上手いというのがあるよね。

名簿? 名簿って何ですか?

名簿というのは支援者や支援者予備軍をリスト化したもので、選挙に勝つには名簿が重要と言われているんだ。

なぜ名簿が重要なんですか?

選挙の際に支援や投票をお願いするためだよ。多くの政治家は選挙区内に住んでいる人の住所や電話番号を集め、政策レポートなどを郵送し、選挙期間の前後には電話やハガキで支援を要請したり、投票の呼びかけを行っているんだ。


支援者が沢山いれば選挙期間中に様々な活動を行うことができるし、得票数も稼げる。政治家にとって名簿というのは、まさに「命」なんだ。

 

なるほどね。選挙で勝つには名簿となるリストを多く集めておくことが重要なのね。N国党はどのようにリストを集めているの?

主に「NHK撃退シール(NHKの集金人が来なくなるシール)」を発送することによって行っているよ。

 


シールを貰うにはインターネット上のフォームに名前、住所、電話番号などの個人情報を入力する必要があるんだけど、これがリストとして活用できるよ。

 

 

NHKの集金人の訪問に困っている人なら、N国党の活動を支援してくれる可能性は高い。選挙の時にお願いすればN国党に投票してくれるだろうし、ボランティアに参加する人も結構な割合で存在すると思うんだよね。うまいのは「返報性の法則」を活用しているということなんだ。

 

返報性の法則って?

返報性の法則とは、人から何かしらの施しを受けたとき「お返しをしなくては申し訳ない」というような気持ちになる心理作用のことなんだ。

バレンタインデーにチョコを貰ったら、たとえそれが義理であっても「ホワイトデーにお返ししなければならない」という気持ちになるし、デパートやスーパーなどで親切な店員さんから試食をすすめられたら、おいしいと感じなくても「買わないと申しわけないな」という気持ちになるよね?これは返報性の法則によるものなんだよ。N国党はこの法則を選挙にうまく活用しているんだ。


NHKの集金人を追い払ってもらった人や、集金人が来なくなって助かったと思った人は「お返ししなきゃ申し訳ない」という気持ちになるよね? その「お返ししたい」という気持ちが投票所に足を向かわせるんだよ。

 

なるほど「お返ししたい」という気持ちを投票という形で返してもらっているというわけね。返報性の法則を活用しているのね。

「投票してくれ」とお願いするだけでは、投票所に行く動機は生まれにくい。しかしN国党の場合は「NHKの集金人から守ってもらったのでお返ししたい」という心理が働くから、投票所に行く強い動機が生まれる。

つまり得票数につながるわけね。コストをかけてまで「NHK撃退シール」を発送しているのはそのような理由があるのね。

単にリストを集めるだけじゃなくて「濃いリスト」を集めているという点がポイントなんだ。N国党の躍進の陰にはこの周到に計算されたリスト集め、名簿作成術があるんじゃないかな。

N国党の躍進にはそんな秘密があったのね。

コメント