衆議院解散総選挙へ向け、自民党と公明党の議論が活発化している。新型コロナの影響で経済は低迷し、東京オリンピックも開催できない公算が高くなってきた。アピールの場を失った安倍政権としては、新型コロナの第二波、第三波が襲って来る前に衆議院を解散。選挙に勝利し求心力を復活させたいところ。
東京都知事選挙で小池百合子氏が圧勝し、4つの都議補選でも全勝したことで自信を深めたのか、党内からは「秋にも解散をするべきだ」という声も上がっているようだ。しかし、それに「待った」をかけているのが、自民党と連立を組む公明党だ。
2日、公明党の斉藤鉄夫幹事長は記者会見で「新型コロナウイルスの感染防止などに全力を挙げるべき」「年内の解散は望ましいことではない」と述べ、早期解散に後ろ向きな姿勢を示した。
山口那津男代表も、12日のテレビ番組で解散総選挙の時期を聞かれ「新型コロナ対策を最優先にすべき」と語ったうえで「自公の選挙協力で最大の効果が表れる時期に」と語った。
公明党が早期解散に慎重な理由は、支持母体である創価学会の事情がある。斉藤鉄夫幹事長は4月9日の党中央幹事会で「選挙を予定通り実施していいのか」「少なくとも緊急事態宣言が出た地域では延長すべきだ」と語っている。学会員には高齢者が多く、新型コロナウイルスは脅威となる。感染防止のために集会などの活動を取りやめているため、組織力をフルに活かせない状況にあるのだ。
もう一つの理由が、来年夏に行われる東京都議会議員選挙だ。公明党が都議会議員選挙を特別視している理由は、公明党と創価学会の歴史を見れば分かる。公明党の前身である「公明政治連盟」は都議会で躍進し、新宿区信濃町に本部を置く創価学会に法人格を与えた。東京都は創価学会の聖地なのだ。前回の都知事選で自民党を蹴って、小池百合子氏と手を組んだ理由もここにある。
都議選と衆議院選挙の時期が近づけば、創価学会への負担が増え、十分な支援体制を作れない。「できれば時期を離したい」と考えるのが本音ではないだろうか。
さて、現与党は次期衆議院総選挙で勝てるだろうか? 筆者は勝てると見ている。野党共闘が進んでいないことに加え、新型コロナの感染拡大の影響で「現政権を支持しよう」という人が増えているからだ。
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