18日、ブラジルのボルソナロ大統領は「新型コロナウイルスには70%が感染する。どうすることもできない。高齢者や健康に問題のある人はケアするべき。ただ、われわれは働かなければならない」と支援者に訴えた。感染拡大を防ぐよりも、経済活動を再開することのほうが大切との考えを示した。
新型コロナウイルスの震源地、中国も経済活動を再開している。中国の習近平国家主席は「新型コロナウイルスは基本的に抑え込んだ」と宣言したが、世界中の人は「感染拡大は止まっていない」と見ているし、実際そうだろう。中国は新型コロナウイルスを抑え込むのは不可能と考え、ブラジルと同じ「ウイルスとの共存」を選んだのではないだろうか。新型コロナウイルスと闘いつつも、経済活動は止めない。経済が死んでしまったら、それはそれで多くの死者が出るので、ブラジルや中国の考えは合理的とも言える。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界中で都市封鎖が行われ、経済活動が止まっている。それによって新型コロナウイルスの感染拡大が終息すれば良いが、そうでない場合はどうするのか。現実問題として、経済活動をいつまでも停止しているわけにはいかない。経済活動を停止し続ければ、新型コロナウイルス感染による死者を遥かに上回る死者(自殺者)が出る可能性があるからだ。現代人にとって経済活動の停止は「死」を意味する。
感染終息が見込めない場合には、リスク(死者が出る)を承知で経済活動を再開しなければならない。「ウイルスとの共存」を模索するということだ。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、経済活動を再開すれば感染は拡大し、高齢者を中心に多数の死者が出る。「死者が出るのは我慢しなさい」と国民に言える政治家がいるのか疑問ではあるが、近いうちにそうした決断を迫られることになるだろう。
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、21日のテレビ番組で「財政破綻が嫌なら、命は少し犠牲になるかもしれないが、経済活動をある程度回していくんだと。これはどっちの道に行くにも物凄い責任を負うことになる。だけど、その覚悟を持つのが政治家の役割」と発言している。「国民の生命と財産を守る」ため、政治家は時に非情な決断を強いられる。政治家になるというのはそういうことなのだ。
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